
テント倉庫の建築を検討しているものの、テント倉庫とは具体的にどういったものなのかわからない方もいるでしょう。実際にテント倉庫を建築するにあたり、構造や建築基準法の条件などについて知りたい方も多いのではないでしょうか。そこで、今回はテント倉庫の構造や建築基準法の条件などについて紹介します。
そもそもテント倉庫とは
テント倉庫は、キャンプなどで使用するテントと同じように金属の骨組みに生地を被せて設置する倉庫のことです。一般的な鉄骨造倉庫と比べると、建築にかかる工期が短いのが特徴といえるでしょう。
また、採光性が高いので倉庫内を明るく保つことができ、照明の使用量を抑えられることから、結果的に電気代の節約も期待できます。
屋根や外壁が膜材なので、鉄やサイディングを使用している一般的な倉庫のように錆が発生しないのも魅力のひとつです。錆が発生せず、構造がシンプルであることから、メンテナンスが容易なのも特徴です。
さらに、一般的な倉庫に比べると、建物重量が軽いので、地震が発生して建材が落下したとしても、被害を最小限で済むのも魅力といえるでしょう。そのほか、サイズのバリエーションが多いので、予算や用途、規模にあわせて自由に選択できます。
なお、膜材については、スタンダードな記事のほかに、不燃膜材というものがあります。不燃膜材を使用すれば、すぐれた防炎効果を期待できるでしょう。
また、膜材を二重にして建築する二重膜システムを採用すれば、倉庫内の温度を均一に保ちやすくでき、定温倉庫として利用できるのも特徴です。
テント倉庫の建築基準法の条件
建築基準法によると、建物の面積が10㎡以上であれば建築確認申請を行わなければならないとされています。テント倉庫についても、面積が10㎡以上の場合、特定行政庁などに建築確認申請を行う必要があります。
万一、建築確認申請を出さずに10㎡以上のテント倉庫を建築した場合は処罰の対象となるので注意が必要です。また、違法建築に該当することから撤去命令が下されます。
さらに、建築確認申請のほかにも注意しなければならないことがあります。たとえば、消火器や火災報知器といった消火設備です。
消防法により、一定規模のテント倉庫を建築するときは、消火設備を設置することが義務付けられています。たとえば、テント倉庫の面積が500㎡未満の場合は、消火器の設置が必要です。
また、倉庫の面積が500㎡以上の場合は消火器に加え、火災報知器を設置しなければなりません。さらに、テント倉庫の面積が700㎡以上の場合は消火器と火災報知器に加え、屋内消火栓も設置する必要があります。
そのほか、倉庫で可燃物を保存する場合は、保存する対象物によって規定があるので、くわしくは管轄の消防署に確認することが大切です。なお、一定の条件を満たすと、緩和措置を受けられる可能性があります。
国土交通省によると、倉庫の延べ床面積が1,000㎡以下であり、階数が1階のみで屋根と壁があることに加え、地面からの期までの高さが5m以下かつ、膜材をけた行き方向に3m以下の間隔で鉄骨造の骨組みに定着させていれば、緩和措置を受けられます。緩和措置の具体的な内容は、設計風速の低減を受けられることです。
さらに、構造計算書の妥当性について、適合性判定が不要になるのも緩和措置のメリットといえます。テント倉庫を建築するときに、基準を満たしていれば緩和措置を受けられ、テント倉庫の強みを最大限に引き出すことが可能です。
ただし、基準に満たしているかどうかを自分で判断するのは難しいでしょう。そのため、テント倉庫の建築を得意としている専門業者に相談することをおすすめします。
テント倉庫の光特性とは
テント倉庫は短工期であることやメンテナンスしやすい点などがメリットとして挙げられます。そのほか、採光性が高く、光特性にすぐれているのも魅力といえるでしょう。
テント倉庫で使用される膜材は採光性にすぐれており、日中は天然光が透過して倉庫内が明るくなります。そのため、最低限の照明だけで済み、電気代を節約できるのがメリットといえるでしょう。
また、倉庫内で使用する照明量を減らせるので、照明による目の疲労や脳の疲れなどを低減できるのも魅力です。テント倉庫で使用する膜材の透光率は約15%なので、天候条件によっては照明を使用しなくても十分な明るさを確保できます。
倉庫内の明るさを確保することで、蛍光灯などの人工照明を使用する必要がなくなり、精神的な疲労を回復させられる効果を期待できるでしょう。そのほか、目が疲れにくくなるので、結果的に作業効率が向上するといったメリットもあります。
まとめ
テント倉庫はキャンプなどで使用するテントと同じように、鉄骨の骨組みに膜材を組んで建築する倉庫です。膜材の透光率が高いので、すぐれた採光性を発揮でき、日中は照明をつけなくても十分な明るさを確保できるでしょう。そのほか、屋根や外壁に鉄やサイディングを使用しないので、錆が発生しないのもテント倉庫の魅力です。さらに、構造がシンプルなので予算や規模に応じて自社にあった大きさや形状を選択できるのも特徴といえるでしょう。ただし、消防法や建築基準法にもとづいて建築しなければならないので、テント倉庫を建築するときは専門業者に相談することが大切です。