
建物の建設や増改築の際は、建築物が建築基準法や条件に適合しているのか確認するための建築確認申請が必要です。テント倉庫に関しては、建築確認申請が必要なケースと不要なケースがあります。この記事では、テント倉庫の導入における建設確認申請についてくわしく紹介しますので、参考にしてください。
テント倉庫の建築確認申請が必要なケース・不要なケース
建築確認申請は、建築基準法で定められている手続きのひとつです。建築基準法にもとづく各種検査を行う地方公共団体の職員である建築主事、国土交通省の指定を受けている民間の機関である指定確認検査機関によって実施されています。
具体的に、これから建築物を建てる人または企業は、建築物を新設や増築する前に設備図や仕様書などの書類を用意し、行政機関や検査機関に提出しなくてはいけません。建築基準法や各法律に適合しているのか確認するための手続きとなります。
確認を受けずに工事を着工してはいけません。ただしテント倉庫においては、建築確認申請が必要なケースと不要なケースがあるため、それぞれの条件を見ていきましょう。
建築確認申請が必要なケース
テント倉庫の面積が10㎡を超える場合は申請が必要です。また防火地域や準防火地域、都市計画地域などに建設する場合は、面積に関係なく申請をしなくてはいけません。
申請した内容に問題がないことが確認されましたら、建築確認済証が交付され、工事が着工できるようになります。
建設確認申請が不要なケース
防火地域や準防火地域以外であり、テント倉庫を増築・改築・移転する場合は、10㎡以下であれば申請は不要です。
また面積を減らすための減築も申請は不要です。建設確認申請が不要なケースもあるため、テント倉庫を建設する際は、事前に確認することが重要です。
建築確認申請をしなかった場合の罰則とは?
建築確認申請が必要なケースに該当しているにもかかわらず、申請を行わなかった場合、罰則になる可能性があります。罰則は、建築基準法第99条1号の規定にもとづき、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
また確認申請を行わずに建築物を建築し、自治体から工事の停止を求められても工事を続行してしまうと建築基準法第98条第1項の違反です。3年以下の懲役または300円以下の罰金となります。
違法建築が発覚すると、是正処置命令や撤去命令を出されるでしょう。その場、建物の撤去が必要になり、大きな費用負担となるリスクがあります。周辺住民からの苦情やトラブルに発展する可能性もあります。
ただし違反してすぐに罰則となるのではなく、行政が事実確認したうえで必要な措置を命令する流れになるでしょう。
667号が適応されると緩和処置を受けられる
一般的なテント倉庫は、屋根や外壁にシートが張られた建築物であり、国土交通省告示第667号の基準に適合している建築物をテント倉庫と呼びます。国土交通省告示第666号に適合した建築物は膜構造物と呼ばれます。
テント倉庫と膜構造物は、面積や用途に違いがあるため注意が必要です。667号に適応されると緩和措置が受けられます。緩和措置を受けるためのおもな条件について、くわしく見ていきましょう。
倉庫の使用用途
テント倉庫を何のために導入するのか、用途に制限があります。緩和処置を受けるためには、倉庫として利用しなくてはいけません。
倉庫は物品を保管するための場所であり、農業現場ならば野菜や果物などの保管、農機具、シートなどの資材を保管として使う必要があります。
倉庫の構造
鉄骨造の骨組みに膜材料等を張り、屋根や壁を設けることが条件です。骨組みは、日本工業規格に適合していること、または同等以上の品質であることが必要です。
膜材に関しても、テント倉庫を建設する地域の基準に適したものを使用しなくてはいけません。また柱脚部は、アンカーボルトにて基礎と緊結する必要があります。
倉庫の規模
テント倉庫の階数は、1階建てであることが条件です。延べ面積が1,000㎡以下であり、規模が大きすぎると条件は満たせません。
倉庫の屋根と壁
すべての側面に壁を設け、天井には屋根を設ける必要があります。テント倉庫は、結露が発生する可能性が高いため、室内の熱気や湿度を逃がすための換気扇の取り付けも可能です。
軒と開口のサイズ
軒の高さは5m以下、間口は30m以下でなくてはいけません。面積だけではなく軒の高さや間口のサイズにも条件があるため注意が必要です。
屋根の形状
屋根の形状は、切妻・円弧・片流れの中のどれかであることが条件です。切妻は家の中心から山型に屋根が落ちるデザインの屋根、円弧は円のように曲線が描かれている屋根、片流れは片側に傾斜したデザインの屋根を指します。
まとめ
テント倉庫は、建築物に該当するため、原則として建築確認申請をする必要があります。ただし申請が不要な場合もあるため、テント倉庫を建設する際は、事前に確認することが重要です。また667号が適応されると緩和処置を受けることも可能です。緩和措置が受けられるとコストを削減でき、短工期の実現も期待できます。緩和措置を受けるにはいくつかの条件があるため、倉庫の構造や規模を検討する際にしっかり確認しましょう。また建築確認申請は専門的な知識が求められるので、専門家のサポートを受けると安心です。